ドラッグアンドドロップってなんですか
さて、根性ナシの新卒社員がお世話になった会社を辞めてから数ヶ月が経ちました。「私はなんて仕事ができないんだろう、私がまともにできる仕事はこの世にひとつもない」と今も本気で思っていますが、いつまでもふさぎ込んでいるのもよくないと思い「まだいけそう」と思った事務系(?)のアルバイトを初めたのが3ヶ月ほど前だったでしょうか。
物心つく前からパソコンが家にあって、一日何時間とかいう制約もなくオモチャを扱うような気持ちでそれと戯れていた私は「なんとなく」でパソコンの扱い方を心得ています。詳しいことはわかりませんが、情報化社会の常識(初級)なども踏まえて最低限は心得ていると思います。ただしオタクというカテゴライズに限定するとそこらへんの能力は中の下くらいだなと自覚しております。
そんでもタイピングはマンガのフラッシュゲームで体得したし(おかげさまで指使いなどまるでなっていない)、マウスの右と左は何が違うかなんていう理屈は遊びながらなんとなしに覚えたものです。
オタク英才教育の結果、今はめでたく湿った雑草に成長しました。
今の業務は、勤務中ひたすらパソコンに向かってWordやExcelを使った作業をするだけです。もともともっている語彙力や文章力のセンスが問われる面は多々ありますが、「パソコンの使い方さえ心得ていれば」ポイントやコツを教わりながら素人でもなんとかこなせる仕事だと思います。
幸い私はパソコンの基本的な使い方は一通りおさえており、それこそまったくお遊びの我流で文章の書き方などもひそかに学んできていたので「こんなに楽してお金もらっていいんですか?」程度の気楽さで毎日働きに出ている次第です。あの頃の苦しみが嘘のようです。(もちろんあくまでもアルバイトがこなせる程度の仕事なので、厳しい社会に一歩踏み出す勇気はまだ十分ではありませんが)
やっとタイトルの話をします。
ちょっと特殊な業務内容ということもあり、正直なところ3日ほど出勤して「合わないので辞めます」という人や知らぬ間に蒸発していく人もたくさんいます。この3ヶ月でそういう人たちをちょっと引くほど見てきました。上層部にもいろいろ言いたいことがありますが、怖いのでここでは言いません。
どうやら今の働き場は「3ヶ月も働いてたらベテラン」らしく、私もとうとう新人さんの指導にあたるようになりました。「お前は口から生まれてきたんじゃないのか」と周りから言われるくらいにはおしゃべりなので、だいたいもともと営業でしたし指導することそのものに抵抗はそれほどありません。
問題は「パソコンの使い方がわからない」人が多すぎたことです。
「すみません、この写真をここに置きたくて……」
新人さんから質問を受けたとき、こんなことを思ってしまうのは本当に失礼なんですが、もう言葉からして嫌な予感がしました。「画像」じゃなくて「写真」(しかも写真ですらなく何かのイラストだった)。「写真を置く」とは一体。
具体的な年齢まではちょっとわかりませんが、髪色明るくネイルもぴかぴかの可愛らしい女性の方です。しかしヘナチョコの私より10年以上は人生経験を積んできているであろうことは見た目からわかります。
年上相手に気が引けるなぁと思いつつ。
「画像を保存したらフォルダからそのままドラッグして、ここにドロップしていただければ……」
「えっ、ドラッグって何ですか?ドロップって……?」
「あっ、あっ、そうですよね(?)」
「正気か?」を押し殺しての「そうですよね」、決まりました(?)。もちろん笑顔で説明しましたが、その場でスコーンと後ろに倒れそうでした。ぶっちゃけそのときちゃんと笑えていたかもわかりません。説明している暇もなかったのですが、たぶん「フォルダ」もよくわかっていなかったのではないかと思います。
そのときは「新人さんは今までパソコンとは縁のない仕事をしてきたのだろうな」と思い、うまく説明ができなかった自分の至らなさを反省したのですが、その人だけじゃありませんでした。いっぱいいました。
「あのう、この画像を使いたいんですけど」「右クリックで保存してくださいね」「あぁ、右クリックね。カチカチ」「ダブルクリックじゃなくても大丈夫ですよ」
「じゃあ、一度インターネットを閉じましょうか」「ええと?どうやって閉じるんですか?」「右上に×のマークがありますよね、そこを押してもらって…右ではなく左で……」「ごめんなさい。さっき別の方にインターネットを立ち上げてもらったんですけど、もう一回やり方聞いてもいいですか?」
「ここをコピーして、ここにソックリそのまま貼り付けて……」「そのコピーとか、貼り付けっていうのはどうやればいいんですか?」「必要な部分をドラッグで選択してもらって……ドラッグってわかりますか?」「……」「あっ…ちょっと、ちょっとこれ借りますね。あの、ここを押しながら、こうしたら青くなりましたよね、それで……」
※全て別々の方とのやり取りです
もう、もう、もう言ってしまいますが、これァ僕が思ってた新人指導じゃねぇぞと思いました。いkkkっくらなんでも業務に取り掛かる以前の問題が多すぎたんです。ああやっぱり会社に言いたいことがある。言えないよ。最低限パソコンを心得てる人だけを採用してなんて言えないよ。
私かて別にパソコンの扱い方を1から100まで知っているわけではありません。専門的な知識を学んだわけでもなしに。我流で学んだ飛び飛びの知識ですから、2から55くらいと飛んで61とまた飛んで83を知っているかなという感覚です。
ですが両親を含め、物心ついたときから周りにオタクしかいなかった私は今の今まで気が付けなかったのです。パソコンの扱い方ゼロの人が思ったより多いということに。
同時にこれまでの人生に恵まれすぎたなと思いました。自分のことをわかってくれる人、波長が合う人、自分よりも優れた人としか時間を共にしたことがなかったんだなと。そういう人たちと長い時間を過ごした大学時代が特にそうだったんでしょうね。
そんで今回の件で自分の指導力のなさというか、説明能力の低さに辟易としてしまいました。ゼロの人にイチを伝えるのがこんなに難しいと思ってなかったし、そもそも自分にイチが抜けているから教えられないのだなと。反省。
明日以降も新人さんを相手にいろいろと指導に追われる予定です。業務内容と、パソコンの使い方教室(個人)。こんな記事書いてる時点で私はどうあがいても陰キャですので、これまでテレビとスマホ以外の向き合ってこなかった光の国の人々を相手に誠実な対応をしていきたいと思っています。
あ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!オタク最高!!!!!!!!!!!!!オタクにはパソコンがわかるやつしかいないもんな!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!11111
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妹「ダンゴムシは虫じゃない」姉「は?」
話題のまう山先生のツイートを見かけたので。
幼い頃の私は、自分で言うのも何ですが、幼稚園で一番の昆虫博士でした。今でこそセミの裏側を見るとイィーッとなってしまうくらい昆虫が苦手になってしまいましたが、小学館の分厚い図鑑を毎日ひらいてニコニコしている変な娘だったと記憶しています。
大人になった今、つい最近の話ですが、姉とこんな話をしました。
「ダンゴムシって虫なの?」
姉のふとした一言に、私はドヤッと答えました。
「ダンゴムシは虫じゃないよ」
「でもムシって名前ついてるじゃん」
やれやれ。お前もそのパターンか。私は(生物学の世界では常識どころの話ではないのですが)ちょっと偉そうに解説しました。
エビやカニの親戚のようなものなんです。
加えて脚の数など、身体のつくりの特徴からも昆虫の定義には当てはまらないという説明をして、だからダンゴムシは虫じゃないわけよ、と。
姉はまた首をひねりました。
「昆虫と虫って違うの?」
私は固まってしまいました。
確かに。
やべえと思ったこんなときこそグーグル先生です。私はこんな解説記事にたどり着きました。
『「虫」は生物学で定義されているものではありません。ただ、まだ学問が普及していなかった明治時代よりも前からある言葉です。当時の人は哺乳類、鳥類、魚類以外、要するに毛の生えていない陸上動物をひとまとめに「虫」と呼んでいたのです』(自分なりの要約なので違っていたらごめんなさい)
久しぶりに脳みそがガーッとかき混ぜられました。
だったらトカゲやヘビみたいな爬虫類も虫ってこと?
ああ〜そういえば爬「虫」類って……
蜥蜴(とかげ)にも蛇(へび)にも虫がいるんだな、同じように地上で生きてる蝸牛(かたつむり)にも虫がついてるんだな……
ってことはダンゴムシなんか名前にムシってついてんだから間違いなく「虫」じゃん!
アリさんハチさんみたいな昆虫だって「虫」じゃないかー!
昆虫と虫ってそういうことかー!
むかしのひとって スゲー!
私はそこでようやく自分の勘違いに気付きました。
「虫」という大きなカテゴリの中に「昆虫」がいるわけですね。
そして「虫」の中には、地上に暮らす毛のない動物、つまりダンゴムシやムカデ、ヘビみたいな爬虫類なんかも含まれるのですね。
ダンゴムシは確かに「昆虫」の定義には当てはまりません。しかし「虫」の仲間かと言われれば、それはイエスということになります。
「昆虫と虫って違うの?」
姉の疑問はこれにて解決です。
「昆虫」はその身体が頭・胸・腹の三部がはっきり分かれていて、胸に三対の脚がついている特定の生き物を指す生物学上の言葉。
「虫」は前述の「昆虫」を含め、哺乳類、鳥類、魚類以外の陸上動物を指す、もっと広い意味の言葉。
ふんふん。つまり私は長年にわたり、「虫」と「昆虫」が同じ「昆虫」の定義のもとにあるものと勘違いをしていたと。
20年の時を経てしまいましたが、昆虫博士、一生の不覚だと思いました。
この世に生まれて二十年と少し、まだまだ勉強しないと、ちゃんと大人になれませんねぇ。
反省しました。